日本では長らくデフレが続いており、政府のインフレ目標2%は程遠い状況だと言われていますが、一方では食料品や建築資材、灯油など様々なものが値上げされるとのニュースが盛んに報道されていますよね。
ポテチも値段は変わらないのに量が異常に少なくなっていたり、回転寿司が妙に小さくなっていたりと給料は増えないのに実質値上げは続いているのは多くの人が実感しているのではないでしょうか?
インフレとは物価が上がり続けること、インフレが起きていないと言いながら物の値段は上がっているとはどういうことなのかちょっと整理してみました。
物価と価格は違う
同じもののように感じてしまう物価と価格ですがこれって別物です。ウィキペディアにはこのように書かれていました。
物価:
物価とは、経済全体での一般的な物価水準。種々の商品やサービスの価格を、ある一定の方法で総合した平均値。「ある家庭が1年間生活していく上で必要な、さまざまな財・サービスの値段を合計したもの」のこと。価格:
価格とは、有形・無形の各種の商品(サービスを含む)の取引に際して提示される金額をいう。値段とも呼ばれ、サービスについては料金ということもある。
子供の頃「物の値段は需要と供給で決まる」って聞いたことありますよね、つまり小麦や原油など輸入品の需要が世界的に増えて、結局輸入品の価格が上がっていると理解することができそうです。
なぜインフレが進んでいないのか
輸入品のコストが上がれば高いものを買わざるを得ない。そうなれば物価だって上がってインフレになりそうですがどうなんでしょうか?
ウィキペディアの物価の説明の中に「ある家庭が1年間生活していく上で必要な、さまざまな財・サービスの値段を合計したもの」というのがあります。
つまり生活必需品が値上がってもその分給料が上がっていたら物価は上がるはずですが、その分やりくりをして支出をおさえているので物価が上がらないということですね。
給料が上がらない ⇒可処分所得が変わらない ⇒物価は上がらない
つまりインフレが進まないのは可処分所得が増えないため、給料水準が上がるか減税して可処分所得を増やさなければインフレは進みようがないということですね。
逆に言えばインフレが進むということはみんなの財布が温まっている状態とも言えます。

(全労連HPより)
日本は給与水準は年々下がっていますからインフレが進みようがない貧しい国になってしまったわけです。
アベノミクス以降日銀がお金をどんどん市場に供給しているので、そのうち個人の給料も上がることを期待したいですがまだまだですかね。
マメ知識
日銀がインフレターゲットを2%においているのは経験的にそのくらいが経済成長に適切とされているもので、多くの先進国の中央銀行は2%をターゲットにして金融政策を行っています。
さて日本ではこの物価の推移は消費者物価指数(CPI)をもとに算出されています。このCPIいくつか種類があってざっくりと以下のように別れています。
A)全品目で算出
B)食料を除いて算出
C)食料とエネルギーを除いて算出
国際的にで見れば物価は C)の食料とエネルギーを除いたもので算出するのが一般的です。
これは食料やエネルギー(石油・石炭など)は天災や紛争などで価格が乱高下しやすいのでカットして計算します。さらに言えば食料やエネルギーは生活必需品とも言えますから必ず使いますよね、それでもC)が上がっていれば財布が温かい状態と言えるのですね。
このC)を国際的に「コアCPI」と呼びます。
ところが日本ではB)の食料を除いて算出したものを「コアCPI」と呼びます。なので国際的に使われる「コアCPI」と日本の「コアCPI」は別物です。
国際的に「コアCPI」と呼ばれるものは日本では「コアコアCPI」と言います。
日銀の金融政策はB)の「コアCPI」を物価目標の指標として採用しており、日本政府はC)の「コアコアCPI」を指標として景気判断することを明らかにしていることを知っておくといいと思います。
日銀の景気判断はB)の「コアCPI」です。たとえば石油価格が高騰しても灯油やガソリンの使用量を急に減らすことはできません。でもCPIではカウントされますから家計は苦しいのにコアCPI上は景気がよくなってきた・・・なんて変な話にならなければいいなと思いつつまとめたいと思います。
まとめ
日銀のインフレターゲットは2%、これは多くの先進国が採用している数字で経験的に健全な状態だと言われています。
なおインフレとは物価が上がっていく現象でデフレはその逆ですね。日本では長らくデフレが続いている割にものの価格は徐々に上がって生活に余裕が少なくなってきたように思います。
なぜ?これは物価と価格の言葉の定義が異なるからです。
価格はその字の通り物の値段
物価は消費している金額合計から算出
なので給料が増えずに商品の価格が上がれば皆さんは節約しますから物価は上がりませんしデフレが続くということです。
つまりインフレということは財布が温かい状態が維持されて安心してお金が使えるという事なんですね。収入が増えて可処分所得が増えて初めてインフレになってきます。
なので可処分所得が増えるような政策をぜひ期待したいものですが、個人としては今のまま可処分所得は増えない・デフレは続く前提で投資や副業など自衛することも大切になってきます。
それでは、また!!
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