定年間際の方が退職金などまとまった資金をもとに投資を始めるのは一般的にはオススメされていません。リスク許容度が一般的に低くまとまった資金を持っていること、それでいて投資に積極的なので失敗する確率が高いからです。
とは言うものの、普通の人は老後は収入が減りますから、まとまったお金が手元に入れば投資に回して年金不足分を補完したいと考えるのは理解できます。
しかも、個人的にはまっとうな投資であれば貯金と同じく一生続くモノだと思っているので何時から投資を始めてもいいはずじゃないですかね。
ただ注意点は、一般的にはすでにお金を使うステージに入っていると思うのでどのような資金計画を建てるのか、投資リターンの目安や投資の実効性含めてちゃんと検討することが必要だと思うのです。
よく、銀行に預けておくよりはマシという理由で窓口でよくわからない商品を買う人がいますが老後資金を他人任せにしていても老後資金の心配はなくなりません。自ら考えて実行することで初めてお金の心配がなくなるのだと思います。
考え方編では以下についてまとめてみました。今回は実際に資金計画を立てるイメージでまとめてみたいと思います。
1)年配者が始める投資方法
2)最低限知っておきたいこと
3)資産をどのくらい使うか考える
4)資産取り崩し時の注意点
5)リスク許容度をどう上げるか
6)取り崩し用の資産をどう作るか
あくまでも個人の意見なので、納得行く資金計画を立てる参考にして頂ければと思います。
またダイジェストは以下URL参照ください。
いまの資産状況を把握する
では早速今の資産状況を確認していきましょう。資産と負債がどの様になっているのかがわからないと作戦の立てようがありません。
この時に例えば不動産とか車とかすぐに現金化できないものはノーカウントです。
資産としてカウントするのは貯金や定期預金、保健の解約金などすぐに現金化できるものです。一方で負債については利子も含めてトータルでいくら返さなければならないのか把握しておきます。
あの「金持ち父さん 貧乏父さん」では
資産は自分のポケットにお金を運んでくれるもの
負債は自分のポケットからお金をとっていくもの
とありましたが、とりあえず持っているお金と返さなければならないお金を整理します。
その他にも近い将来かかるお金、入ってくるお金について把握が必要ですね、お子さんがいるのであれば教育費であるとか、車の買い替えなど 入っていくるお金は退職金や年金つみたてなどすべてを算出します。
持っているお金
返さなければならないお金
近い将来使うお金
入ってくることが決まっているお金
ここが明確になれば実態が見えてくるはずです。
生活費を把握する
いま年間でどのくらいの金額を使っているのか生活費を把握しましょう。当然ですが年間にかかる生活費が高ければその分老後資金も多めに用意する必要があります。
生活費が高ければその分
大きなお金を準備する必要がある
そこで出てくるのが倹約、生活の満足度を下げないようにして支出を減らす能力が問われます。皆が持っているから、買うのが当たり前だから・・・など周りの視線を気にしだすとお金はいくらあっても足りませんよ。
倹約するには予算を立てるのが必須、おすすめの方法は生活するのに最低限度必要なお金と余裕分を分けて予算化する方法です。
最終的にどのくらい貯金と投資に回せる? どこまで無理なく増やせる? ここを把握しましょう。
老後資金いくら必要?
基本的に老後資金の必要額は算出はできません。寿命がわからない以上平均まで生きと仮定するしか無いからです。
そこで狙うのは使っても減らない状況、「資産収入>取り崩し額」です。これにはFIREで有名になった4%ルールを使います。
年間支出から年金を差し引けば年間で必要な取り崩し額が算出できます。
考え方のポイント
●年間生活費をおさえること
●年間取り崩し額の25年分が目標
●目標金額が達成できなかったら・・・
⇒生活費をおさえる
⇒必要な分だけ働く
年間120万円取り崩したいのであれば4%ルールを考えて3750万円のリスク資産が必要となります。
120万円/0.8(課税分)=150万円
150万円/0.04(4%ルール)=3750万円
ついでに言えば生活防衛費も必要ですから目標は4000万円強でしょうか
生活防衛費を確保しながら4000万円程度のリスク資産をもつというのはなかなかハードルが高いですが、目標は目標としてどうしても足りなければ生活費をおさえたり必要な分だけ働くという事で対応することになります。
具体的にイメージを作ろう
今の資産状況と目標との差、そして年間いくら貯金や投資に回せるのかがわかれば目標が現実的なのか、足りなければもっと支出をおさえたり、収入を上げるようにと作戦が立てられますね。
資産=貯金+投資x利回り
間違っても投資の利回りを多めに見積もることのないようにしてください。まっとうな投資のリターンは長期平均で年5%程度です。
あとは50歳から始める株式投資ですからとにかくリスクに慣れることが先決、投資初心者の方はなくなってもいい資金で投資をするべきというのもそういうことです。
株式ですから暴落が起きればまっとうなファンドでも40~50%下落することもあります。ここで慌てて辞めてしまうと株価が戻るときのリターンを取り逃がしてしまいます。
暴落時にどう対応するか作戦を考えておきましょう。
個人的には少額からの投資をつづけながら、暴落時には買い増しできる現金並行して積み上げるという作戦がよいのではと思います。 暴落中に何もしないのはかなり辛いですが、買い増しするという行動を初めから決めているならば、することがきまっているので精神的にもラクです。
また一度暴落を乗り越えられるとそれ以降は以外と平気になるものですよ。
以上を踏まえて、毎年いくら貯金や投資にお金が回せるか、貯金と投資の比率をどうするのかを決めていきます。
最終的にリスク資産は取り崩し額の25年分がほしいわけですがリスク許容度を考えると初めは投資の比率低め、徐々にリスク資産の値動きに慣れてきたら貯金から投資へ移すのがよいと思います。
初めは貯金の比率高め
慣れてきたら(暴落時に)徐々に貯金を株へ
まっとうな投資先
最後にインデックス投資をするのであればこれを買うべきというものを紹介したいと思います。
その前に利益に対して20%も課税されるので非課税制度は目一杯使って余った分は特定口座で運用することが原則ですね。具体的にはつみたてNISAを利用して投資信託を買う、余裕分は特定口座ということです。
そしてインデックス投資の基本は短期・中期での上げ下げはわからないけれど長期的に成長が見込める銘柄を買うこと、その意味では米国株式か全世界株式がベターでしょう。
いまお勧めするならば以下3つが候補です。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
また最終的に取り崩す時点でのポートフォリオですが、成功確率を見ると株式50~75%が一番高いように見えます。なので先ほど紹介した株式投資信託50~75%、債券については残り25~50%が良さそうです。
ただ債券には適当な投資信託がないので米国ETFでAGGやLQDとしてください。また初めから債券を組み入れる必要はないかもしれません。慣れてきてから徐々に取り崩しまでに・・・というスタンスでいいと思います。
あとは実際にご自身の環境に合わせて具体的計画に落とし込んでいけば良いはず、以上あくまでも個人の意見ですが自分も約50歳から投資を初めているので投資未経験者の方の参考にはなるかなと思っています。
まとめ
実際に50歳から株式投資をはじめて老後資金を確保する考え方と方法について考えてみました。
現在の資産状況を知る
貯金や投資に回せる額を最大化
リスク許容度を短期間でどう上げるか
まっとうな投資先
50歳から株式投資を始めるということはかなりリスク許容度が低いことが想定されます。資産を積み上げる期間も15年程度と短いことが想定できるので、積立は貯金を中心にしてスタート、投資に回す分は少なめで慣れを優先させたいです。
また無理な節約で今使うお金を抑え込むのも問題です。満足度を下げないで支出を減らすこと、いまと将来のバランスを考えることも重要なポイントだと思います。
まずは資産状況とどれだけ貯金や投資に回せるか家計の見直しは直ぐにできますから即行動です。
でも投資は一生続けるもの、焦らずにコツコツと続けましょう。
それでは、また!
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