投資でふやした資産は年金不足分の補完のため取り崩すことを前提にして話を進めてきましたが、そのためには金融資産をいつからどのように取り崩していくのか・・・ここを考えておかないと投資の方向性がブレてしまうのでしっかりと考えておきましょう。
前回までは・・・
・4%ルールで取り崩しを前提に作戦を考える
・トリニティスタディ失敗の原因は暴落時の取り崩し、取り崩さないための対応を考えておく
ということが大切だとお伝えしてきました。具体的には毎年取り崩す額の5年分を現金で持っておくこと、暴落時は取り崩さずにこの現金を使うことで4%ルールの成功確率を上げる作戦がよいと思っています。
イメージは・・・
老後の生活費を300万/年として年金で200万円支給されるとすると差額は100万円、つまり100万円×5年=500万円 取り崩し分プラス現金500万円があると暴落時も安心です。
この時に一番の問題となるのは投資経験が浅いため、暴落時に慌てて安値で売ってしまうことです。
そう、リスク許容度ですね。
今回はこのリスク許容度不足への対応を考えていきたいと思います。
結論は慣れです!! といっては身も蓋もないのですがこれしか無いでしょう。ただ一度でも暴落を経験するとそれ以降は以外に冷静になれるものですが、初めての暴落で損して辞めてしまうのが心配です。
●そもそもリスク許容度とは
●世界一当たらないグラフ
●暴落時はホールドすべき理由を知る
●高配当株投資の割合を上げる
そもそもリスク許容度とは
リスク許容度とは「どれくらい資産がマイナスになっても耐えられるか」というものです。気持ち的に資産が減ることで心配で耐えられないというものだと思ってください。
なお、マイナスになることで生活に影響が出るのは問題外なので生活に必要なお金や近い将来使う予定のお金を投資に回してはいけないという事も頭に入れておきましょう。
ちなみに、この気持ちの部分をリスク選好度とも言い、投資をするときの一番の敵になります。
そもそも、おすすめしているインデックス投資では以下のような商品を買っているはずです。
・短期・中期的な値動きはわからない
・でも長期的には成長する
でもこのまま下がり続けたら大損害だよね・・・なんて前提をひっくり返してしまうことが失敗する原因であることを知っておきましょう。
世界一当たらないグラフ
投資で大きな力を持っているのが複利です。この複利の力を説明するのに以下のような貯金と投資の運用例をグラフで説明するケースが多いと思います。

貯金よりも投資のほうが確実に成長していますよね。
実はこのグラフ全く当てになりません。
あくまでも複利の効果を説明する資料なのでリターンが固定、実際にはリターンが固定なんて事はアリえませんし、大きくマイナスする年もあります。
このグラフのおかげで感覚的にマイナスは無いように錯覚してしまうのかもしれませんね。
暴落の例・・・
リーマンショック時には株価は半分まで下がりましたし、ドル円も3割くらい円高になっていました。なのでもし同時にくると資産の6~7割が吹っ飛ぶ可能性もあったわけです。
なお、5年後にはもとの値まで戻していますし、この時に鬼ホールドしていた人はいま資産を3倍以上に増やしています。この時にチャンスと見て買い漁っていた人はすごいことになっているでしょうね。
S&P500長期チャート
赤丸部がリーマン・ショック

ここを理解しておかないと安値で手放して大損するパターンに陥ってしまいますよ。
暴落時はホールドすべき理由を知る
米国のデータですが、実際に鬼ホールドすべき理由を数字で確認してみましょう。
●株式は200年で約60万倍に成長
●15年以上投資をすればマイナスにならない
●弱気相場は長くて30ヶ月
株式は200年で約60万倍に成長
シーゲル博士の「株式投資の未来」ここに有名な200年チャートがあります。これを見ると資本主義社会において最高のパフォーマンスを発揮するのは株式ということがわかります。

15年以上投資をすればマイナスにならない
株式ですから必ず暴落はありますが、この「株式投資の未来」には15年以上投資を継続することで統計的にマイナスにはならないことが紹介されています。
弱気相場は長くて30ヶ月
30ヶ月ということは2年半ですね、流石に2年半下がり続けるのはきついですがそのときには現金の蓄えを取り崩してなんとかしのぎましょう。株式は2年半くらい下がり続けてもおかしくないのです。
高配当株投資の割合を上げる
最近の傾向ではインデックス投資よりも高配当株投資のほうがリターンが小さいようです。と言っても取り崩さなくても定期的に分配金が入ってくるので精神的にラクなんです。
つまり高配当銘柄を保有し分配金で年金不足分を補い、取り崩しはしないで放置という作戦もアリということです。
一般的には暴落時には分配金は株価ほど下がらないと言われていますし、幸い米国株式には優良な高配当ETFがありますから高配当株ETFを購入する選択肢もあります。
ただ堅いところで利回りが2~3%程度ですからそれなりに元手が必要ですし、S&P500でインデックス投資をした場合の長期リターンが6%前後であることを考えると悩みどころですね。
まとめ
インデックス投資の大敵は暴落時にビビってしまい安値で売却してしまうことです。本来ならばバーゲンセールですから買い漁ってもいいはずなのですが、なかなか難しいようです。
繰り返しになりますが、インデックス投資は短期・中期の値動きは無視し長期的に成長が期待できるものに幅広く分散投資するわけですから暴落も無視なはずなんですよ。
あくまでも10年後、20年後に増えていればいいという投資方法ですからね。
でも、頭でわかっても慣れの要素が強いので経験を積んでもらうしかありません。その意味で少額から長期投資できる若い方は有利、でも年配の方でも今回まとめたようなことを知っておくだけで鬼ホールドできるようになるでしょう。
そもそもリスク許容度とは
世界一当たらないグラフ
暴落時はホールドすべき理由を知る
高配当株投資の割合を上げる
それでは次回は株式を買う前の準備について考えてみたいと思います。
それでは、また!!
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