投資の目的は人それぞれですが、今回セゾン投信のHPに面白い図が書かれているのを見つけました。「超長期投資」です。確かに投資信託はそのまま相続が可能なので現金化しなくても相続できるはずです。
つまり、長期間運用してきた資産をそのまま受け継げば、資産ゼロから新たに資産形成するよりも大きな成果を生み出せることになるわけですね。
セゾン投信のHPにあった世代を超えた長期投資のイメージ図です。
60代でグラフが跳ね上がっているのは退職金の影響ですね、退職後も投資を続けて資産寿命を伸ばしつつ必要な分だけ取り崩していく事になります。そして結果的に残った資産を子世代が相続し、また長期運用が始まっていく図です。
子世代が積立投資を継続していくのであれば、結果的にこのグラフのようになっていくのだろうと思いますし、まさに世代を超えた超長期運用です。
ある意味理想的だと思うのですが、これをするためには押さえておかなければならないポイントがあると思うのでまとめておきたいと思います。
オーソドックスな商品に投資すべき
投資する商品は自分が使うことをイメージして商品選びをしてしまうケースが多いと思います。もちろん何にどれだけ投資するのかは自由なのですが、あまりに偏ったものは避けておくべきだと思います。
相続した人が投資に明るければいいのですが、そうでなければどうして良いのかわからなくなってしまうと思うわけです。ましてや毎月分配型の投資信託などを相続しよう物ならば確実に資産を減らしてしまいます。
その意味でも、せめて投資の核となる部分は安心して「長期運用、分散投資、積立投資」ができる商品を選び、相続したひとも安心して積立投資を継続できるようにすることが大切だと思います。
個人的には金融庁がすすめている「つみたてNISA」の対象商品から投資信託を選ぶのは良い判断だと思っています。改めてですが、「つみたてNISA」は国の基準を満たした投資信託などに限定しており、具体的要件は以下の通り
○ 販売手数料はゼロ(ノーロード)
○ 信託報酬は一定水準以下
(例:国内株のインデックス投信の場合 0.5%以下)に限定
○ 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
○ 信託契約期間が無期限または20年以上であること
○ 分配頻度が毎月でないこと
○ ヘッジ目的の場合などを除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
本来は投資で得た利益には20%課税されるのですが、つみたてNISA口座を開設して投資を行うと、2037年まで毎年40万円ずつ非課税で新規で投資ができるわけです。毎年40万円は少なく感じるかもしれませんが月々3万円ちょっとですから、無理なく多くの人が使えるような制度になっています。
ちなみに毎月3万円の投資がどのくらいの資産に化けるのかシミュレーションした結果です。
米国の株価は長期で見れば年平均で5%ほど成長しているので、ここからインフレ2%程度と考え年間3%のリターンでシミュレーションしてみると・・・
元本 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
利回り | 0.03 | 0.03 | 0.03 | 0.03 |
積立て | ¥30,000 | ¥30,000 | ¥30,000 | ¥30,000 |
運用期間(年) | 20 | 40 | 60 | 80 |
複利 | ¥9,849,060 | ¥27,781,785 | ¥60,432,884 | ¥119,882,535 |
投資額 | ¥7,200,000 | ¥14,400,000 | ¥21,600,000 | ¥28,800,000 |
複利と書いたところが資産の価格となります。投資額は毎月3万円でトータルいくら投資したのか、つまり3万円x12ヶ月x20年=720万円ということ、20年で3~4割増えたことになります。同様に40年で2倍弱、60年で約3倍という計算が成り立ちます。
超長期として80年(2世代)で見ると約4倍です。少額で無理のない範囲でも、積立てを継続し福利で運用すれば長期で大きな資産が築ける可能性があることがわかります。
選ぶべき商品は限られている
話をもどしてオーソドックスな商品として「つみたてNISA」対象商品から選ぶべきと書きましたが、対象商品は100を超えているのでなかなか選びきれないと思います。しかし条件をよく見ると選ぶべき商品は限られているものと思っています。
ちなみに私は「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」をつみたてNISAで買っています。
運用上の注意点
投資を始めると株価の動きなどが気になってくるものと思います。株価が下がればがっかりですし、上がれば嬉しいと言うのは普通の心理だと思います。
でもこれを気にしすぎてもいけません。これを気にしすぎると株価が下がったときにビビってやめてしまう可能性があるからです。積立てですから下がったときには多く買えると腹をくくって買い続けるか、ほっぽらかしで運用するくらいで丁度いいわけです。
また知恵がついてくると株価が低いときに多く買って、高いときには買わない・・・といったこともしたくなると思います。(私がそうでしたから・・・)
これもいけませんね、たまたま うまく買えるときもあると思いますが、あくまでも たまたまであって長期運用で考えれば意味のある行動ではないと思うのです。 プロでも当てることが難しいのに素人が長期間当て続けることは無理だからです。
世界中で見れば人口もまだまだ増えますし、経済も発展していくことが想定されます。長期運用はこの経済成長に自分のお金をのせて育ててもらうようなイメージですから、短期の株価の変動は気にしてはいけません。安くても高くても気にせずに愚直に買い続けることが大切です。
そのため長期運用と分散投資、そして積立投資がセットで語られるのでしょう。
まとめると
少額の積立てでも世代を超えた超長期運用はかなりの破壊力がある! 相続を受ける側のことを考えるとオーソドックスに長期運用と分散投資、積立投資に向いている商品がおすすめ。このため「つみたてNISA」は積極的に活用すべき。
ただつみたてNISA対象の商品でも選ぶべきものは限られている。個人的には世界中の株式か米国株式に分散するタイプがおすすめ。そして市場がどうなろうが気にせずに積立投資を継続することが大切。
今回は時間を味方につける意味で世代間をまたがる投資を考えてみましたが、結局基本は一緒ですね。ただ超長期になると そんなに先までこの商品があるのか? という疑問も生まれてきます。 環境変化はいつでも起こってきますからその時代に合わせた見直しは当然必要です。
そういう意味では全くのほっぽらかし運用ではなく、たまには情報を取りながら商品の乗り換えなども考えるということになっていくのでしょうね。
非課税制度NISAにもいくつかの種類があります。一人1口座という制約がありますが、家族で利用すればかなり大きなメリットとなるでしょう。
最近は投資環境がどんどんと良くなってきています。具体的にはコストが低い投資信託が次々と発売されていること、最近ではS&P500が信託報酬0.1%を切る商品も出てきています。
つみたてNISA対象商品にも新興国株式を投資対象としたものがあります。昔は経済成長著しいBRICsが注目を集めていましたが、なかなか難しそうな市場です。
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