現在基本65歳から支給となる公的年金ですが、公的年金だけでは余裕をもった生活ができないのは周知の事実、余裕を持った生活をしたいと考えた場合は月々夫婦で32万程度のお金が必要と言われています。
話題となっている金融庁のワーキンググループでまとめられた「高齢社会における資産形成・管理」によると、平均的な無職高齢の夫婦(男子65歳以上、女子60歳以上)の実収入が約21万円、実支出が約26万円となっているので、毎月約5万円の赤字。
公的年金や支出は人それぞれであるが、不足分は貯蓄等でカバーしなければならない。というものです。なお報告書では85歳まで生きるとして、約2000万円の資金が不足するとの記載があり物議を醸しています。
・・・また余裕を持った生活で、月々32万円ほしいとなれば、月々10万円不足するわけです。例えば退職金1000万円でも、毎月10万円取り崩せば8年ちょっとでなくなってしまう計算ですよね。
このためまとまった額が支給される退職金を資産運用に回そうと考える方もは多いと思います。今回は退職金を運用する基本的な考え方を整理してみたいと思います。
まず入ってくるお金を明確に
最初に行わなければならないのが、公的年金はいくら貰えるのか?退職金はいくら貰えるのか? これについて調べる必要があります。
公的年金は「ねんきん定期便」で調べることが可能ですし、退職金であればお勤めの会社の総務に問い合わせすればわかるはずです。
これらを調べて、年金支給時にいくら位の金融資産が手元にあるのか、公的年金でいくら位支給されるのかがわかれば計画が立てやすくなります。
参考までに定年時に支給される退職金、モデルケースですが経団連加盟の上場企業で大卒2357万円、東京の中小企業で1384万円、高卒ではその80%前後と言われています。
お金は3つに分けて考える
受け取れる退職金と公的年金、そして持っている貯金などが明確になれば、あとは老後必要な生活費を整理を整理してみてください。
このときに、高齢になると支出も2割程度減っているというのも1つのヒントになるかもしれません。
この上で、お金は基本3つに分けて考えるのが基本だと思います。
1:生活費以外に短期的に使うお金
2:近い将来使う予定のあるお金
3:資産運用に回すお金
短期的に使うお金はおおよそ1年でに使うおカネ、近い将来使うお金は5~10年程度でしょうか、それ以上使う予定がないのであれば投資に回しても問題なさそうです。
短期的に使うお金
短期的に使うお金を投資は、手元にあってすぐに現金化できることが重要です。支給される年金を考え、不足分を普通預金などでもつイメージです。
例えば税金や保険など年間でかかるお金がこのイメージです。場合によっては余裕を持って1年半くらいを持っても良いかもしれません。
近い将来使うお金
この先5~10年くらいで使う予定のお金については安定性重視ですね。国債とか定期預金などが良さそうです。
資産運用に回すお金
10年以上使う予定がないのであれば投資に回すべきでしょう。長期運用のメリットを活かして投資信託や株式の運用をおすすめします。
10年としたのは、株式であれば株価の上げ下げがありますから短期間で現金化すると損をする可能性が大きくなります。これに対してS&P500で10年以上運用していればほぼプラスになることが過去の実績からわかっているからです。(もちろん絶対はありませんが)
すぐに使う予定のあるお金はおおよそ1年以内、近い将来使う予定のあるお金は5~10年、そしてそれ以上と分けましたが、もちろんこの年数は目安であり、使う目的などから最適値はご自身で考えていただくのが良いと思います。

3つに分けた資金は、例えば年に1回見直してみる。そして足りない部分は「資産運用に回すお金」を少しづつ取り崩すことで資産寿命を伸ばせる可能性が高くなってきます。
買ってはいけない金融商品
買ってはいけない金融商品は、「リスクの高い商品・手数料の高い商品」特に資産を大きく減らしたときのリカバリーが難しい高齢の方はFXのようなリスクの大きな商品は選ぶべきではありません。
またこのような商品は投資したことがない人に、得だと思わせる仕掛け満載なので避けたほうが無難です。
退職金専用プラン
外貨建て貯蓄型保険
毎月分配型投資信託 等など
退職金専用プラン
一回にまとまった資金が支給される退職金ですが、まず退職金が振り込まれた銀行から退職金プランの紹介が来る可能性があります。
よく見かけるのが定期預金と投資信託やラップファンドの組み合わせの商品。貯金と投資が同時にできるというもので、定期預金の金利が異常に高く設定されています。
しかし定期預金の金利が高いのは初めの3ヶ月とか6ヶ月、ラップファンドも手数量が異常に高いので投資家向けの商品ではありません。
外貨建て貯蓄型保険
高齢になれば体の衰えも気になるでしょう。そのような人に保険と投資を組み合わせた一石二鳥の商品・・・ではありません。
外貨建てということは為替変動のリスクを投資した本人が負うことになる商品です。つまり資金が目減りする可能性も大いにあるわけで、投資した本人が知っていれば良いのですが・・・ また投資部分と保険部分の手数料が公開されていないので非常に割高な商品と言われています。
このため保険と投資は分けて選ぶべきです。
毎月分配型投資信託
毎月分配型投資信託は毎月分配金を支払ってくれるのは良いのですが、運用益が小さくてもそれ以上の分配金を支払うため元本が徐々に減っていく可能性が高く、また分配金が再投資されないので複利の効果はありません。
毎月お金が支払われるので安心感が大きいのですが、気がついたら元本価格が大きく下がっていることも多々あります。
購入すべき金融商品は?
個人的には長期運用でプラスのリターンが目指せる投資信託がおすすめです。具体的には金融庁の進めているつみたてNISAも対象商品は長期運用で資産を築ける可能性が高い商品から選ばれているので、まずこれらが候補でしょう。
個人的なおすすめは
米国株式への分散投資
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・楽天・全米株式インデックス・ファンド
世界中への株式へ分散投資
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド
まずこの辺から試してみて、投資になれることからスタートしてみることをおすすめします。
また、つみたてNISAで投資を始めることをおすすめします。利益の20%にかかる税金が免除されるからです。年間の掛け金は40万円までと多くありませんが、非課税のメリットは大きいとおもいます。
投資未経験者にとって相談できる人の存在は頼もしいものです。しかしその相手が証券会社や銀行の窓口である場合は注意が必要、なぜならば窓口には手数料が高く投資家の役に立たない商品しか無いからです。また相手は販売のプロであり投資のプロではありません。
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