海外のETFのなかで保有額ランキング上位には、世界中の株式へ分散投資する「VT」、米国株式へ投資する「VTI」やS&P500をベンチマークにする「SPY,IVV,VOO」、そして米国高配当ETFである「VYM」が上位に食い込みます。
今回は超人気のVTI、そして高配当のVYMについて過去のチャートから、どちらが良いのか考察してみたいと思います。
なお、おさらいですがVTIといえば米国で購入可能な株式すべてを組み込んだETF、約4000銘柄が組み込まれており、楽天証券の海外ETF保有額ランキングでは2~3位と人気です。
一方で、VYMは米国大型株式から高配当な銘柄を約400組み込んだETFです。楽天の保有額ランキングでは5位に入っており、どちらも人気のETFといえます。
利回りはVTI2.09%、VYMがは3.01%です。(2019/06/11)
できるだけ長期間のチャートで比較すること
基本的なことですが、分散されているETFは過去数年のパフォーマンスだけをみてあまり意味がなく、できるだけ長い期間でどのような動きをしているのかを確認することがポイントです。
VTIは2001年5月24日設定、VYMは2006年11月10日に設定されていますから約12年の値動きを確認することができますね。
比較するポイントは
・VYMは大型株、そして高配当ですから暴落時に比較的強いはず
・小型株を含むVTIに対してVYMはどのくらいビハインドしているか
・トータルリターンの差
暴落時の値動きを比較
VYMは2006年が設定日ですから、ちょうどリーマンショック時の値動きがわかります。VYMの設定日を基準にどのくらいまで下落したのかを確認してみましょう。
チャートから下落のピークはVTI、VYMともに 50%付近となっています。つまり瞬間的にですが半分の価格になったわけですね。
ではチャイナ・ショック時はどうだったのでしょうか? チャイナ・ショックは2015年の人民元切り下げをきっかけにした株価暴落です。これも2015年6月12日に始まったと言われていますので、ここを基準日として見ます。
このときはVTIがピークでマイナス15%くらい、VYMはマイナス10%くらいで収まっています。 1年間のチャートの動きではVYMの方がパフォーマンスが良いということですね。
一般的には大型株式や高配当は下落しにくいといいますが、チャイナ・ショック時にはその傾向が見てとれます。 しかしリーマン・ショック級の下落が発生したら大型株や高配当といったディフェンシブな効果は全く期待できないことがわかります。
VTIに対してVYMのパフォーマンスは?
ではVYMの設定日から2019年までのチャートを比較してみましょう。 VYMは設定日から約12年で67%の成長です。 これに対してVTIは110%の伸び、これはさすがですね。
ではVTIの圧勝ということでいいのでしょうか?
トータルリターンを比較する
ではVYMの設定日からのトータルリターンを見てみましょう。これは分配金を再投資した前提でチャートが作られています。
トータルリターンではかなり肉薄してきます。VTIが171%の伸びなのに対して、VYMは150%の伸びです。大型株・高配当のVYMもかなり頑張っていますね。
ただし、分配金は米国と日本で2重に課税されますので、高配当のVYMはもう少し下がってきます。
まとめ
ここまでをまとめると・・・パフォーマンス的にはやはりVTIが有利と言うことで良いでしょう。つまりVTIかVYMかといえば基本おすすめできるのはVTIです。
ただし投資で老後資金の不足分を賄っている人にとってはVYMの方が良いケースもあります。たとえばVTIで老後資金の不足分を賄うような場合は、売却して資金を得るパターンだと思いますが、そうすると口数が減ってしまいますよね。
しかしVYMの分配金はVTIの1.5倍くらいなので、口数を減らさずに分配金を得られる可能性が高くなります。 このためまとまった資金を運用しているのであればVYMの方が気持ち的にも良いのでは!?と思います。
この様に高配当にはその良さがあるわけなので、今回は以下のように結論づけたいと思います。
⇒投資期間が長く取れる若い方にはVTI
⇒老後資金など取り崩しが前提ならキャピタルも狙えるVYM
なおVTIとよく比較されるS&P500ですが、これはパフォーマンス的にもほぼ同じなのでどちらを選んでも問題ないと思います。強いて言えば最近VTIの経費率が0.01%減って0.03%になりましたので、VTIが一歩リードと言う感じです。
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