先日、海外ETF保有残高のランキングを整理してみたときに面白い現象が見つかっています。 通常保有残高はあまり順位を下げないのですが、PFFの保有残高ランキングが下がってきて言います。
2018年12月 | 2019年2月 | 2019年5月 | ||
1 | VT | VT | VT | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF |
2 | PFF | VTI | VOO | バンガード・S&P 500 ETF |
3 | VTI | PFF | VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF |
4 | VOO | VOO | PFF | iシェアーズ 優先株式&インカム証券 ETF |
5 | VYM | VYM | VYM | バンガード・米国高配当株式ETF |
6 | VWO | VWO | VWO | バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF |
7 | SPY | HDV | HDV | iシェアーズ コア米国高配当株 ETF |
8 | HDV | SPY | SPY | SPDR S&P 500 ETF |
9 | IVV | IVV | IVV | iシェアーズ・コア S&P 500 ETF |
10 | TOK | TOK | TOK | iシェアーズ MSCI コクサイ ETF |
これは楽天証券の海外ETF保有残高ランキングです。ほとんどのETFが順位を変えない中で、PFFだけが2018年12月に2位⇒2019年5月4位と徐々に順位をさげています。これは高配当が人気なPFFですが、ここに来て徐々に売られていることが想像できます。
もちろん運営母体が大きいので楽天証券で売られたとしてもそれが株価に影響することは無いですが、多くの投資家にとって魅力がなくなってきたのは確かのようです。
紫がS&P500、PFFは水色です。 もともとPFFは高配当が魅力ですが、キャピタルは期待できない優先株ETFです。 特に2018年からは確実に株価が下がってきています。
PFFの特徴
PFFの一番の特徴はその利回り、6%近い利回りのせいか、昨年の12月頃までは楽天の海外ETF保有残高ランキングで2位とかなりの人気です。 なぜランクが下がっているのか、売られているのか? これは主に以下2つの要因にあると思います。
利上げ局面で価格が下る
株式同様に景気後退の影響を受ける
利上げ局面で価格が下る
もともとPFFは価格変動がなく、これは利率固定の優先株が多くを占めるためと思われます。利率固定ということは債権同様に利上げに弱いということです。
振り返ってみればFRBが2016年からゼロ金利をやめ徐々に利上げを進めてきましたが、これに伴って価格が下がっていることが推測されます。 であればBNDやAGGなど政府債権などを多く組み込んだETFと同様の動きをするものと推測できますが・・・
過去2年のチャート
PFFが水色、ピンクがAGG、そして紫はS&P500です。1年前の2018年9月までは債権AGGとPFFはほぼ同じような動きをしていることがわかります。 確かに債権同様に動いています。
株式同様に景気後退の影響を受ける
2018年10月といえば米国のペンス副大統領が中国に対して「断固として立ち向かう」と宣言したことで景気の足を引っ張りましたが、ここからPFFの価格は大きく下がっています。
この動き、規模は違いますがS&P500と同じ動きをしています。AGGの方はピクリともしていません。さすが格付けが高い債権です。利回りはさほど大きくはありませんが安定感がすごいですね。
また今年の4月頃からAGGが価格を上げていますが、PFFは下げています。つまりでPFFは一時的な下落や景気後退の影響を受けて大きく値を下げるのです。PFFを売却している人はこのような景気後退をひしひしと感じて価格が下る前に売ってしまおうと考えた人が多いようですね。
PFFの買い方
つまり景気の四季を読むと、・・・
- リセッション時にはPFFは大きく値を下げる。
- FRBは金利を下げて景気を活性化しようとする。
- 金利が低くなれ高利回りのPFFのようなETFに人気が集まる。
- 景気が戻ってくるとPFFも価格を戻し、以後は金利の影響で価格が決まってくる。(平時は値動きが無い)
というサイクルが予想できますね。
PFFの利回り6%弱とかなり高い利回りです。しかも日本の投資信託のようにタコ足ではないので昨年までは平時として金利の影響で値を下げてきたわけです。 利回りの高さから保有残高ランキングも高かったものの、景気後退目前ですから手放している人が多いと想像できます。
PFFの特徴から買い方を考えると、リセッション時値を下げたときにまとめて購入し保有しながら配当を受け取るというのが良さそうです。そして景気後退局面になってきたら売ってしまうか・・・そのままキープか・・・
残念ながらキャピタルが期待できないETFなので過去長期で見ればトータルリターンでS&P500などには及びませんでした。
・・・となれば個人的にはキープはないかな、というETF、同様に考えている人が多いので順位も下がっているものと推測します。

また、利回りが良いので老後資金の補完に使えそうな気がしますが、その特徴から考えてPFFよりはS&P500やVTI、VYMで運用して必要な分だけ取り崩すほうが効率は良さそうです。
海外ETF保有額と買い付けランキングです。保有額は定番のS&P500とVTIが強いです。
PFFは株式ですが、金融関連の優先株を多く含んだETFのため一般的な株式とはちょっと異なる動きをします。
日本では人気のPFFも、投資の本場米国ではあまり人気がありません。理由は税制にもあると想像しています。