セクタローテーションとは景気の成長には特定のパターンが繰り返されることを前提に、その時々にどのセクタが成長するのかを見極めて投資を行う投資戦略です。
株式市場でどのセクタが人気となるのか? これをマクロ的にみて今後どの段階に移るのかを見極めて、それに対応するセクタへ投資することでパフォーマンスの最大化を図るものです。
今回はこのセクタローテーションについて調べてみます。
4つの景気について
景気は主に「景気の強弱と金利の方向性」によって4つのパターンに分けられます。(SBI証券HPより)
景気が弱い時
景気が弱いとき、投資家は「守り」に入ります。その場合、電力会社に代表される公共株は、業績が景気に左右されませんし、配当があるので、ダウンサイド・リスクが少ないと判断されます。だから公共株が人気になります。同様に食品、飲料、日用品などの消費安定株も不況に強いと考えられていることから、そういう局面では人気化しやすいです。
デフレ局面で好まれる株
ヘルスケアに対する需要は、景気とは全く無関係です。従ってヘルスケア株も選好されます。とりわけデフレの局面では、バイオテクノロジー株のような、製品の価格設定が景気と無関係なセクターが投資家から歓迎されます。
景気が少し上向けば
次に景気が最悪期から徐々に回復に向かう局面では、ハイテク株などに物色の矛先が向かいます。ここ数年の米国の株式市場は、ちょうどそのような局面だったと言えます。まだ景気全体としては弱々しいため、経済そのものが成長していなくても自分のちからで独自に成長を出してゆける、ネット企業などの成長ストーリーが好まれるわけです。
デフレからインフレに変わる時
さらに景気が強くなると、今度はデフレではなくインフレの圧力がかかりはじめます。そのような局面ではコモディティ価格の上昇により恩恵をこうむるような、素材、工業株などが人気化します。また景気が強くなる局面では、長短金利差が拡大する傾向が見られ、それは銀行の収益拡大に寄与します。だからこの局面では金融セクターも人気化します。
消費循環株とは、自動車のような高額商品、ジュエリーのような高級品などを指します。景気が良くなっている局面で、そういう商売は繁盛します。
(SBI証券HPより)
このように景気の状況よって人気のセクタは異なりますので、今景気循環のどこらへんにいるのかマクロ的な視点て考え、次に人気が出そうなセクタへの投資を行うのがセクタローテーション戦略です。
バンガード社のセクターETF
バンガード社では投資先をセクターごとに分けた商品を用意しています。一般的には以下の表にあるセクターにREITを加えて11種類に分かれています。
セクター | ティッカー | 商品名 |
金融 | VFH | 米国金融セクター |
情報技術 | VGT | 米国情報技術セクター |
ヘルスケア | VHT | 米国ヘルスケアセクター |
一般消費財/サービス | VCR | 米国一般消費財/サービス セクター |
生活必需品 | VDC | 米国生活必需品セクター |
資本財 | VIS | 米国資本財サービスセクター |
エネルギー | VDE | 米国エネルギーセクター |
電気通信 | VOX | 米国通信サービスセクター |
素材 | VAW | 米国素材セクター |
公益事業 | VPU | 米国公益事業セクター |
代表的なセクターETFのパフォーマンス
ではセオリーと実態を比べてみたいと思います。安定して成長した2017年のチャートを見てみましょう。
2017年チャート
少し見にくいので米国全体を含んだVTIに対して勝ったか負けたがで見てみます。VTIに勝っているのがハイテク株、素材、ヘルスケア、金融と続いています。景気が強い状態を表すセクタが強くなっています。
FRBの金利引き上げもこのような背景を受けての対応ですね。
1位 VGT :情報技術
2位 VAW :素材
3位 VHT :ヘルスケア
4位 VFH :金融
5位 VTI
6位 VPU :公益事業
7位 VDE :エネルギー
2018年チャート
1位 VPU :公益事業
2位 VHT :ヘルスケア
3位 VGT :情報技術
4位 VTI
5位 VFH :金融
6位 VAW :素材
7位 VDE :エネルギー
2018年は相場が安定せずに1月と12月に大きな下落を経験しています。このため結果的に公益事業の株価が一番伸びた結果に、ヘルスケア、ハイテク株が上位と円グラフで言えば景気の良いことを表すセクタから弱いことを表すセクタまでバラけています。
年末に大きな下落を経験していることから仕方ないと思いますが、なかなか4つの季節が次々と回ってくれるわけではなく、行って戻ってを繰り返しながらゆっくりと季節が進むような感じなのかもしれません。
このためセクタロケーションは今の景気状況を表すことはできますが、近い将来を占う事は難しそうです。ただ長い目で見れば今は景気が良いが、次に来るのは景気後退が来ることはわかります。 今はちょうどその間を行ったり来たりしているのでしょう。
なのでFRBが微妙な金利操作をしていますが、遅かれ早かれ景気後退は訪れることがわかります。 このためそろそろ景気後退に備えるべき時期なのだと言うことができます。
景気と金利そして関連する人気のセクタを知っておくことは、いま景気の状態がどうなのか知る上で有効です。
近い将来は予測できませんが大きな傾向として景気には4つのパターンが有り、それらがローテーションしていくイメージは持っておくべきですね。
そして景気の四季は一進一退を繰り返しながら変わっていきます。景気の変わり目は誰にもわかりませんから、結局のところVTIかS&P500がおすすめだと思います。
人気のS&P500は円でも手軽に買えます。投資信託でも多くの銘柄がありますから投資初心者にもおすすめです。
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