株式と債券の割合について、本来使う予定のないおカネであればリスクをとって株式100%で良いのです。そのほうがパフォーマンスも良いことは過去の実績からもわかっています。
なので若くまだ資産があまりないのであればリスクを取って株式100%がおすすめです。また債券は暴落があったときのクッション役として機能するのである程度の年齢になったらリスク許容度を考えて債券を加えていくことが推奨されています。
では株式と債券の割合についてはどう考えればいいのか? 前の記事でリーマン・ショックを挟んで10年間のシミュレーションを行ったところ、VTIとAGGの組み合わせでは
VTI:AGG=50:50
⇒ 暴落時もクッション役として十分に機能
VTI:AGG=70:30
⇒ かなりバランスが良いと思われる
ただ先程も書きましたが、若い方でまだ資産が少ない、ある程度の資産がある等々 各々の環境は様々なので、環境に合わせた割合を考える必要があります。
グローバルで見たときの株式と債券の割合
バンガードのHPで過去25年、株式と債券の割合とリターンについてまとめたグラフがありました。 ご自身の環境によって株式と債券の割合がどのくらいが適切なのか参考になるので共有したいと思います。
株式と債券への異なる資産配分による、ベスト、ワーストおよび平均リターン
グローバル株式とグローバル債券 (1988年-2013年)
このグラフを見ると過去の25年間の実績は以下のとおりです。
債券100%の平均リターン5.7%
株式100%の平均リターン7.4%
この差が1.7%しか無いのがちょっと驚きです。債券100%の平均リターンも5.4%と高いのはグローバルで見ているためだと思います。
株式の割合が7割を超えると平均リターンに差がない
このグラフを見ると、株式の割合が7割を超えると平均リターンが7.4%と同じ値になっています。もちろん株式の割合が大きいほうがリターンがばらつきますが、株式と債券ともに分散されているETFを購入する前提であれば、この平均リターンにはあまり差が出ない可能性が考えられます。
また株式と債券の割合が5:5の場合でも平均リターンが7.1%もあり株式100%と比べてもわずか0.3%の差しかありませんでした。
一般的に株式と債券の割合が「50:50」はかなり保守的と言われますが、グローバルでみるとリスク(この場合リターンの範囲)が株式100%に比べて約4割も低いのに平均リターンは0.3%しか低くありません。このため決して保守的とは言えない可能性があります。
つまりグローバルに広く分散させているのであれ「50:50」はリスクをおさえつつ平均リターンもほとんど下がっていない。 保守的というよりもむしろ賢い割合かもしれません。
では米国で見たらどうか・・・
この表はVTIとAGGの割合と、そのトータルリターンを算出したものです。
(2008年1月ー2018年12月)
トータルリターン(%) | |
VTI+AGG(5:5) | 83.7 |
VTI+AGG(6:4) | 91.2 |
VTI+AGG(7:3) | 98.6 |
VTI+AGG(8:2) | 106.1 |
VTI+AGG(9:1) | 113.6 |
VTI | 121 |
株式ETFのVTIが100%と VTIとAGGが「50:50」の場合、VTIのリターンを12.1%、50:50のときのリターンが年8.37%で差が3.6%も発生しています。
以上より、グローバルで見れば債券の割合が高くてもあまりリターンに影響してこないが、米国など地域を絞るとその差は大きくなっているようです。
調査期間などの前提を合わせていないのでアバウトな言い方になりますが、簡単にまとめると、世界中の株式と債券に分散投資するのであれば株式と債券の割合が50:50でも決して保守的ではないと思われます。
ご自身の保有するETFなどがグローバルに分散されているのであれば、債券の割合が高くても思ったほどにリターンに影響しない可能性もあるわけです。
これは保有するETFなどの過去のパフォーマンスを調べれば確認することができるでしょう。
また米国に限定してVTI+AGGで算出した結果から、考えると米国株式と超安全債券の組み合わせでは、株式:債券で7:3くらいがリターンとクッション役のバランスが良さそうだと思います。
ただこの割合もご自身の環境によって左右するので、保有する資産の過去のリターンなどを確認することで適切な割合が見つかるかもしれません。
高金利債券が人気を集めているようですが、長期的にはいろいろと問題がありそうです。リスクを理解した上でポートフォリオに組み込んでください。
株式と債券だけでなくキャッシュの割合にも気をつけましょう。なんたって流動性が一番高いのがキャッシュです。
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