投資信託には為替ヘッジのあるもの、無いものがあります。例えば米国で投資をしてもお金を米ドルから円に変えないと使うことができませんよね。
この時に為替レートか円安になれば利益が出る方向に振れますし、逆に円高になれば損失が増える方向に振れます。為替ヘッジはこの為替の影響を受けにくくするのもの、今回は為替ヘッジが有った方が良いのか、無い方が良いのか考えてみます。
円高と円安が投資に与える影響
まず海外へ投資を行った場合、その後 円安になると利益が出ます。外貨を買った時よりも円の価値が落ちているわけですからその分たくさん買えるのです。
1ドル100円で1万円分買えば100ドルです。その後円安になり1ドル110円になれば・・・100ドルで円を買い戻すわけですから11,000円となり1,000円の儲けです。
逆に、円高となり1ドル90円になると、100ドルで買える円は9,000円となり1,000円の損失ということになります。
為替の影響は円安になればプラス・円高になればマイナスです。
このように投資先のパフォーマンスに加えて為替の影響を受けて最終的なリターンが決まります。また為替レートは年に5~10%は簡単に動きますから無視はできません。
為替ヘッジのメリットとデメリット
このような為替の影響を緩和するのが為替ヘッジ、そして海外へ投資する投信の場合は為替ヘッジが有るもの、ないものがあるわけです。
為替ヘッジ有りのメリット
⇒ 円高になった場合、為替による損失を低減する
為替ヘッジ有りのデメリット
⇒ 円安になった場合の利益を得られない
⇒ 為替ヘッジをするためにコストがかかる
為替ヘッジ無しの場合は余計なコストが発生しませんが、為替の影響をそのまま受けます。つまり円安になった場合は利益、円高になった場合はその分損失です。
為替ヘッジの基本的な仕組み
一般的には「為替予約」で将来の為替を予約すること実現しています。例えば「1年後に1ドル100円で交換する」というように約束することで、株価が大きく動いたとしても約束したレートで取引ができるのです。
そしてこれを成り立たせるのが金利差、例えば米国の短期金利3%、日本の短期金利が0%とします。 現在の為替レートが100円とします。
1年間1万円を運用したとすると円は増えないので1万円のまま、ドルは3%の金利が付くので103ドル すると1年後に1万円が103ドルになるよう為替予約をすることで不公平が生じなくなるわけです。
そして1万円で103ドルですから、1ドルあたり約97円で予約しています。 為替ヘッジを行うコストは現時点のレートが1ドル100円ですから97-100円=マイナス3 つまりこの3円分をコストとして支払うことになります。
逆に金利が逆のパターンであれば金利差がプラスになりますからその分基準価額が上昇することになります。
債券と為替ヘッジは相性がいい
一般的に債券と為替ヘッジの相性は良いとされています。債券は手堅い運用といえますが、そのリターンは数%くらいです。 それに対して為替は平気で年間5~10%は動きますので「為替ヘッジ無し」では円高が激しくなった場合のリターンがマイナスになるケースもあり得るわけです。
このため為替ヘッジを利用して手堅く運用することが可能、これのため為替ヘッジと債券は相性が良いといわれるのです。
外貨を持つ理由について
円とドルのように複数の通貨で投資をする理由に、インフレリスクを低減する目的があります。
一般的ですが円安になるとインフレとなり、円高になるとデフレになりやすいといわれます。
インフレになれば日本円の価値は目減りしますから、円だけを持つのはリスクが大きいわけです。この時に米ドルで投資をしておくことはリスクヘッジとなるため、複数の通貨で投資をすることが望ましいということになります。
ここで為替ヘッジについて確認しますが、為替ヘッジをすることで将来のレートが決まって来ます。 これって通貨分散の意味では外貨を持つ意味がないのでは? 実は米ドルで運用していたとしても円投資と変わらないでしょう。
では個人投資ははリスクヘッジを選ぶべきか?
長期運用をしている個人投資家のメリットは運用期限がないことです。つまり市場の環境を見ながら売却するタイミングを計ることができます。
この場合「ヘッジ有り」を選ぶ理由はありません。「ヘッジ無し」のファンドをじっくりと運用しながら円安タイミングで売却すればいいわけですし、リターンも為替分プラスとなりますからね。
それに個人的には 「通貨分散」の意味でも、「余計なコストがかからない」という意味でも「ヘッジ無し」のほうが好ましと思います。
一般的な日本人の保有資産は円が一番大きいでしょうから「為替ヘッジなし」で外貨をどんどんと取り入れたほうが良いのではないでしょうか?
高金利債券への投資に人気があります。でも為替の影響についてよく考えおかないと意味がなくなってしまうかもしれません。
日本以外に投資をするとすれば世界中への分散か、米国が王道でしょう。なぜならば長期運用では成長市場への分散が基本だからです。
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