国民年金や厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、昨年10~12月期の運用実績が14兆8039億円の赤字だったと発表したそうです。
そもそも年金は基本、現役世代から高齢者世代へ仕送りするという「世代間扶養」が基本ですが、少子高齢化によってそれだけでは足りなくなっているわけです。このためGPIFという法人が年金の積立を行い少しでも運用益を稼いだり、税金で補ったりとしているわけです。
また年金の運用ですから安全に長期運用をするのが基本、このGPIFの運用状況がどのようになっているのか調べてみました。
2018年第3四半期の運用結果
運用資産全体の運用実績はマイナス9.06%と発表されています。昨年の10月から米国株式が大きく値を下げていますから、それの影響を受けてマイナスになったということですね。
2001年度からの累積収益額は56兆6,745億円(年率プラス2.73%)という発表がされています。
つまり年金運用が14兆円の赤字と聞くととんでもない事が起きているような気がしますが単純に含み損が9.06%増えただけであり、なんてことありません。それよりも2001年からの運用実績で収益率が+2.73%なんて立派なものです。
ただS&P500のリターンが設定来で約10%、AGGの平均利回りが3%を超えていることを考えるともう少し頑張ってもらいたいと思いますが、原資が年金の積立金ですからあまりリスクが取れないということなのでしょう。
GPIFの基本ポートフォリオ
ではGPIFのポートフォリオを見てみます。国内株式と債権、海外の株式と債券が組み込まれており、6割が国内、4割が海外となっています。
また株式と債券の比率がが50:50というのもポイント、極めて自然に感じます。
また国内では債権の割合がやや高く、逆に海外では株式の比率が高くなっています。この比率については色々と意見がありそうですが、国内外の株式や債券に分散投資するということで教科書的には有りだと思います。
また世界中への分散投資を念頭にして開発された「セゾン・バンガードグローバルバランスファンド」の設定来(2008年)の収益率は概算値で2.66%と発表されておりGIPFの設定来のリターン2.73%の方が少しだけですが良い結果です。
こう見ると決して悪いポートフォリオではないということですね。
2014年に債券の割合を下げて株式の割合を上げています。 S&P500などのリターンを考えればもっと攻めても良い気がしますが、年金という性格上 定期的に解約せざるを得ないのでこのくらいが良いのかもしれません。
つまり解約しない場合は株式と債券は7:3位かなと思いますが、定期的に解約すること前提の運用で、しかも年金の運用と考えれば5:5はかなり攻めているのかもしれません。
まとめると、GPIFの運用やポートフォリオは教科書通りの運用がされており含み益が出たからと言って何ら騒ぐようなものではない。ただ株式と債券の割合は5:5と年金の運用ということを考えれば多少攻めている気がする。
また昔は含み損が出ると年金が溶けた、と大きなニュースになっていましたが流石に最近では騒ぐ人はいなくなってきています。長期運用の基本が周知されつつあるのでしょう。
2020年に新たに資産運用の割合を見直すことになっていますので、そのときにもっと攻めるのか、保守的に債券の割合を増やすのかは注目してみたいと思います。
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