「ADR」は「American Depositary Receipt」の頭文字をとったもので日本では「米国預託証券」と言われています。ADRによって取引ができない新興国の個別株が購入可能になってきます。
例えば成長著しく、今後も人口の増大が見込めるインドの場合、個別株式はインドの当局が規制しているので日本から取引をすることができません。しかし、ADRを使うことで取引が可能になります。
ADRで個別株へ投資
ADRの仕組みは例えばインドの銀行が現地企業の株式を買い付け保管。その銀行は保管している株式に対して米国で預かり証を発行し米国の証券取引所で上場させるという仕組みです。
(楽天証券HPより)
そして米国で上場された証券を保有すれば間接的に株主と同じ権利を持つことになるわけです。
また米国でADRとして上場しなければならないので、インドで上場している個別株がすべて買えるわけではありませんが、SBI証券や楽天証券など日本の証券会社を通して通常は購入できない新興国の個別株を購入することが可能となっています。
SBI証券取り扱いADR(インド、2019/01/26時点)
ティッカー | 銘柄(英語) | 事業内容 | 市場 |
HDB | HDFC BankHDFC バンク | インド中央銀行から分離独立した商業銀行。企業や中高所得者向け金融サービスに重点 | NYSE |
IBN | ICICI BankICICI バンク | インド国内2位の商業銀行。投資銀行、生損保等のサービスも展開 | NYSE |
INFY | Infosys Technologiesインフォシス テクノロジーズ | インドの大手ソフトウェア受託開発企業 | NYSE |
RDY | Dr.Reddy’s Laboratoriesドクター レディーズ ラボラトリーズ | インドの代表的製薬メーカー。多くの特許を持ち製品を世界中に輸出する | NYSE |
SIFY | Sify Technologiesサイファイ テクノロジーズ | インドの代表的ネット企業。ポータルサイト運営、Eコマース、ネットカフェ、ケーブルTVなど | NASDAQ |
TTM | Tata Motorsタタ モーターズ | インドの自動車メーカー。商用車で高シェアを誇る | NYSE |
VEDL | Vedantaベダンタ | 石油や鉄鉱石などの開発を世界的に手掛けるインドの総合資源会社 | NYSE |
WIT | Wiproウィプロ | インドを代表する総合ITサービス及びコンピュータ関連技術企業 | NYSE |
他にも、中国や香港、南アフリカ、ブラジルなど新興国の個別株がADRで購入できます。
ADRのメリット
このようにADRを保有することは通常では購入できない国の個別株を買う事と同じこととなり、株主の権利も与えれれることとなります。
例えば配当金も受け取ることが可能です。配当は一旦現地通貨で株式を保有する銀行へ支払われますが、その後両替して米国のADR保有者へ支払われることになります。
ただタイムラグが発生するので株価発表時点のレートにはなりません。また配当課税はその企業がある国、そして米国では非課税そして日本で課税されますので2重化税となります。ただその国と日本とが租税契約を結んでいるのであれば確定申告をすることでいくらか返って来ます。
株主の権利のひとつとして議決権がありますが、これも行使可能です。ただ言葉の違いや手続きの煩雑さなどから現実的ではないでしょうが株主の権利として保障されていいます。
ADRは優良企業が発行可能
ADRには3つの種類があります。 「非上場」、「既存株式をベースに組成」、「新規株株式の発行を伴う増資」 この内一番数が多いのが「非上場」発行基準が低いので数が多いのですが上場は認められていません。
上場が認められているのは「既存株式をベースに組成」、「新規株株式の発行を伴う増資」これらは米国企業が上場する基準と同じレベルの要求事項を満足しなければならず、上場した後も情報公開が義務付けれていたりと条件は厳しいものです。
これらの要求を満足できるADRは上位のものに限られますので企業としても優秀と考えることができます。
デメリットを確認する
ADRのデメリットといえばやはり手数料が高いこと、しかもADRの手数料については実際に配当を受け取るまではわからないようです。調べる方法はあるようですが、日本の証券会社では案内ができないようです。 この部分は後でもう少し詳しく調べてみます。
また新興国の個別株となりますので情報が入りにくい事が挙げられます。これにより各企業の分析は困難なことが容易に想像できます。ただそれを押しても魅力的な株は多々あるのでしょう。そういうニーズがあるからADRが生まれたのでしょうから。
私の場合は日本でも個別株はちょっと・・・分析する時間もないのでETFだけで投資をしています。なのでADRについては知識の一環として調べてみました。 ただ調べてみると単純にADRを選んで買うだけ、非常に手軽に購入できる環境が用意されていてハードルが低いことにちょっと驚いています。
新興国全体に投資する一番簡単な方法はVWOを買うことでしょう。VWOは新興国全体に投資するETFで組み入れ銘柄数は4000を超えます。新興国へ投資するETFの中では一番の人気です。
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