ETFを選ぶときには過去のチャートやトータルリターンなどを確認してどのような成績のETFなのか、おおよそのイメージを確認するものと思いますが、リターンと同様に確認してほしいのがリスクです。
リスクは対象期間の価格のブレが大きさであり、標準偏差やリスク(%)として記載されます。
同じリターンのETFがあったとして、標準偏差が大きいファンドの方が期待したリターンから外れる可能性が高くなるのでと評価されるわけです。
リスクとリターンの関係
リスクとリターンどちらも過去の実績から算出されますが、リターンは過去の実績を見れば一目瞭然です。 ただリスクは振れ幅であり同じリターンでも異なってきます。
1年間の平均リターン4%、振れ幅が 商品Aの場合±9% 商品Bの場合±18%とすると
100万円を1年投資すると以下のようになります。
A:94.6~113.4万円(期待値104万円)
B:85.3~122.7万円(期待値104万円)
リスクが大きいと期待通りにならない可能性が大きくなるというわけです。
また 「±1×標準偏差」に収まる確率は約68%、「±2×標準偏差」に収まる確率は約95%と計算され、一般的に金融関連では「-2×標準偏差」が最悪の目安として使用されています。
1年間の平均リターン4%、標準偏差9%の商品に100万円を投資、1年後のリターンは最悪でも85.3万円と想定されます。
・94.6~113.4万円(期待値104万円)になる可能性が65%
・85.3~122.7万円(期待値104万円)になる可能性が95%
ただリーマンショックのような大規模な暴落時は「-2×標準偏差」を下回っているのであくまでも平常時の目安です。
リスクとリターンだけから判断すれば、リターンが大きくリスクが小さい商品のほうが優秀であり、同じリターンならば標準偏差の値が小さい方がよいと考えられます。
有名な米国ETFのリスクとリターン
リスクとリターンを見ると、そのETFの性格も少し見えてきます。ここでは有名な米国ETFのリターンと標準偏差をまとめてみました。(2020/07/25調査)
リスク(%) | リターン過去3年(%) | |
VTI | 17.7 | 9.1 |
VOO | 16.9 | 9.7 |
VYM | 16.2 | 2.7 |
PFF | 10.6 | 1.3 |
VWO | 18.8 | 1.9 |
SPXL | 53.5 | 7.7 |
VTIは米国全体の株式へ分散投資するETFこれを基準に各ETFの特徴を見てみると
VOO:
S&P500インデックス、米国の優良大型株500銘柄を組み込んでいます。 VTIとほぼ同じ結果となっています。
VYM:
大型高配当銘柄を約400組み込んでいます。大型株ということなのでVTIよりリスクがやや小さくリターンもやや小さくなっています。
PFF:高配当で有名なETF分配金は5%を超えてきます。リターンはほぼ配当金によるものなので、結果VTIより大きくビハインドしています。しかし いつ、いくら位のリターンがあるのか大体予想ができるのがメリットですね。
VWO:新興国株式のVWOはリターンの割にはリスクが大きく、これだけを見るならばあまり優良な投資先とはいえないのかもしれません。なのでPFのメインと言うより一部を構成するような使い方でしょうか。
SPXLはご存知の通りS&P500のレバ3倍ETFです。レバ3倍ですから上がるとき、下がるときの差が激しいことが予想されます。実際に標準偏差は50を超え非常に大きく動きます。
どのような銘柄を組み込むか、商品を比較する時に過去のリスクとリターンもぜひ確認してみてください。比較期間によって結果が大きく異るETF、比較的安定しているETFなどが見つかると思います。
定番のS&P500やVTIはリスクも大きく変動することなく安定していることもわかると思います。

配当金で個人年金を作りたい、というようなニーズを考えるとPFFやVYMは気になるETFですね。

生活防衛費をリスク資産に回してはいけません。機会があればリスク許容度を確認してみるのも良いかもしれませんね。

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