パッシブ運用とアクティブ運用といった伝統的な運用に対して、スマートベータと呼ばれる指標が注目されています。
もともと売上高や利益率、配当利回りなどに注目するのであればアクティブ運用しか有りありませんでしたが、手数料が高くまた長期間に渡って良い成績を出し続けられるものはごく一部でした。
これに対して、パッシブ運用は時価総額などに応じて銘柄を組み入れることで市場平均を狙うものですが、機械的に銘柄を組み込むことができるので手数料が安く、長期運用においてはアクティブ運用より良い成績を収めてきたことから投資の王道とされています。
最近注目のスマートベータはこのパッシブ運用に対して財務指標などのファクタを銘柄選定の条件に組み入れるものです。 これにより、低コストでリスクを軽減、リターンの向上が期待されています。
ファクター
スマートベータはファクター(要素)という考え方を持っています。
代表的なファクタ
ファクター | 内容 | 指数 |
バリュー | 利益等のファンダメンタル価値に対して株価が低い | 株価純資産倍率、株価収益率、簿価、売上高、利益、現金収支、純利益、配当等 |
サイズ | 大企業に比べて規模の小さい企業 (時価総額ベース)の超過リターン | 時整額規模 |
モメンタム | 過去のパフォーマンスがより好調な
株式の超リターン |
相対株価リターン (3カ月、6力月、12カ月等) |
ボラティリティ | ボラティリティやベータ等が低い
株式の超過リターン |
標準偏差 (1年、2年、3年)、下方標準偏差、
固有リターンの標準偏差、ベータ |
クオリティ | 低債務、安定的利益成長等を持つ株式の超過リターン | ROE、収益安定性、配当成長安定性、 財務基盤、レバレッジ、未収支勘定 |
イールド | 平均より高い配当利回りの
株式の超リターン |
配当利回り |
(東証マネ部より)
パッシブ運用の指標に、これらの一部もしくはすべてを組み込んで指標としたものがスマートベータ指標、この指標を用いたETFはスマートベータETFということになります。
その意味では高配当のVYMや中型バリュー株のVOEなどはスマートバリューETFと言えますね。
なぜスマートベータなのか?
アクティブ運用に比べてパッシブ運用はリスクを分散しつつリターンを得るためにはよい方法として投資の主流になってきていますが、時価総額に応じて銘柄を組み入れることから残念な企業も数多く組込まれてしまいます。
しかしスマートベータではファクタによりスクリーニングできれば残念な企業を排除できる可能性も出てくるわけです。 そしてこのファクタはリスクやリターンに影響を与えることがわかっていますのでパッシブ運用よりもさらに高パフォーマンスが期待されているわけです。
つまり時価総額などに応じて幅広く選んだ企業から、ファクタという考え方を導入して残念な企業をフィルダリングして落としていく、イコール良いものだけを残すので自ずと銘柄数も少なくなるでしょうし、中長期的には市場をアウトパフォームできる可能性があるわけです。
この様に期待が持てるスマートベータETFですが、短期でも市場をアウトパフォームできるわけではありません。 短期的に見れば時価総額指数を下回ることは十分にありえることは当然有りえます。
このようなスマートベータ運用がどのようなパフォーマンスを発揮するのか今後も注目です。
パッシブ運用で儲けるには成長市場に分散投資することが大切だと考えます。

その意味では人口増加している国や地域は狙い目です。

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