先日、9月前半の米国ETF買い付けランキングを確認したところ、あまり聞きなれないETFが上位4位にありました。 「ERUS」です。
6月、7月は10位内には入っていないのでこの「ERUS」一時的に買われたことが想像できます。 このERUSはロシア株式への投資が可能なETFですが、一体どのようなETFなのか調査してみます。
そもそもロシアの経済は?
ロシアと言うと昔は東西冷戦のなか、軍需産業が発展しているイメージがありますが、それ以外にも石油・天然ガスといった天然資源の輸出が盛んです。
GDPで世界第13位、ドルベースで1,283兆ドル(2016年)
名目GDP(ルーブル建て)では以下のように順調に推移していますが、米ドル建てではかなりの乱高下が見られます。 為替の影響をモロに受けていますね。
名目GDP(ルーブル建て)
(世界経済のネタ帳より)
名目GDP(ドル建て)
(世界経済のネタ帳より)
インフレ率
縦軸:インフレ率(%) 横軸:年
人工の推移
ロシアはすでに人口減少期に入っており、長い目で見れば経済成長は難しいかもしれません。 インフレ率も近年は5%を切っていますが、それ以前は5%以上と高水準です。
ただ、人口減少期にはいったと言えど、依然人口が1億4千万人とロシアの市場の規模はかなり大きくなっています。
ERUS(iシェアーズ MSCI ロシアETF)
早速チャートの推移を見てみましょう。 リーマン・ショック後にひたすら売られ続けたのかかなり値を下げています。 2016年からはやや持ち直していることがわかりますが、微増という感じですね。
ERUSの仕様は以下のとおりです。
経費率 : 0.62%
保有銘柄数 : 29
分配金利回り : 3.35%
PER : 7.83
PBR : 0.85
分配金利回りが高めであることと、PERが7.83とかなり低い値を示しているので割安と言えるのかもしれません。 ただチャートを見る限り右肩上がりでは推移しておらず、持つとすればサテライト的な保有が考えられます。
ERUS組み込み銘柄
構成銘柄は以下の通りとなります。
ティッカー | 銘柄名 | 業種 | 保有比率(%) | 評価額 |
LKOH | NK LUKOIL | エネルギー | 15.93 | 79,321,672.27 |
GAZP | GAZPROM | エネルギー | 12.92 | 64,337,147.36 |
SBER | SBERBANK OF RUSSIA OJSC | 金融 | 10.73 | 53,419,752.39 |
GMKN | GMK NORILSKIY NIKEL | 素材 | 4.74 | 23,582,390.36 |
NVTK | PAO NOVATEK GDR | エネルギー | 4.66 | 23,214,009.00 |
TATN | TATNEFT | エネルギー | 4.41 | 21,939,692.63 |
SBER | SBERBANK RUSSIA SPONSORED ADR REPR | 金融 | 4.16 | 20,739,441.45 |
MGNT | PJSC MAGNIT GDR | 生活必需品 | 3.7 | 18,408,474.15 |
ALRS | ALROSA CO. LTD. | 素材 | 3.49 | 17,387,079.38 |
MBT | MOBILE TELESYSTEMS ADR REP | 電気通信 | 3.31 | 16,503,664.87 |
NK LUKOIL(石油関連)、GAZPROM(天然ガス)など、エネルギー系の銘柄が多く組み込まれています。 ロシアの主要産業である資源系が多く組み込まれていることがわかります。
ロシアは人口が減少していることなどを考えると、長期的に保有するのはどうかと思いますが、2016年以降はERUSの株価は微増であることや、PERがやすい水準と考えられることなどから買い付けランキングでも上位に食い込んだものと思います。
ERUSはETFとしてロシア株式へ気軽に投資できるのですが、「安い」とか「長期的に期待できる」とか何らかの思いや作戦がなければちょっと難しそうなETFじゃないかと思いました。 あくまでも経験を積んだ方があつかうETFです。
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