ETF運用会社の資料を見ると債券ETFについては、必ず組み込まれた銘柄の格付けが書かれています。 例えば新興国債券ETFのVWOBはこのような比率が公開されています。
VWOB格付け別構成比
一般的に格付けがBa以下は投資不適格債となるのを知っていましたか? つまりVWOBの場合は全体の約4割が投資不適格として認識されているものを組み込んでいることがわかります。
このため、配当も高く設定されているわけです。 配当が高いETFや投資信託にはそれなりに理由があるということです。
格付けの仕組み
格付けは「格付け機関」が行った安全性を示すための記号であり、A?Dの記号で表されます。 代表的な格付け機関は「ムーディーズ」や「スタンダード&プアーズ」などがあります。
ムーディーズ | S&P | 安全性の評価 | |
投資適格 | Aaa | AAA | 最上位の格付け。債務履行の確実性が最も高い。 |
↓ | Aa | AA | 債務履行の確実性は極めて高い。 |
↓ | A | A | 債務履行の確実性は高い。 |
↓ | Baa | BBB | 現段階で債務履行の確実性は高いが、将来まで確実とはいえない。 |
投資不適格 | Ba | BB | 債務履行は当面問題ないが、将来的に確実とはいえない。 |
↓ | B | B | 債務履行の確実性に問題があり、将来債務不履行となる可能性がある。 |
↓ | Caa | CCC | 現時点で不安定な要素があり、将来的に債務不履行となる可能性がある。 |
↓ | Ca | CC | 債務不履行となる可能性が高い。 |
↓ | C | C | 債務不履行となる可能性が極めて高い。 |
↓ | D | D | 現時点で債務不履行をおこしている。 |
備考:それぞれには(+)(-)の符号がつくことがあります。+は上位の格付けにより近いとされ、-は下位の格付けに近いという意味なります。 |
当然ですが、あくまでも債務履行・不履行についての格付けですから、これを見て今後成長しそうだ・・・とかの意味はありません。
投資適格と投資不適格
投資不適格債は、ジャンク債といわれたもの、最近ではハイイールド債などとも呼ばれているものです。 格付けは「Ba」・「BB」以下、投資のプロである機関投資家はこの「投資不適格」には手を出さないといいます。
しかし、投資信託を眺めてみると「高利回り債券」という投資不適格債を組み入れた投資信託がチラホラと見えてきます。
例えば「みずほUSハイイールド」・「フィデリティ・USハイ・イールド」などが投資不適格債権に投資する商品、高金利で誘い、資産形成には向かない?商品を販売するというタイプの投資信託です
フィデリティ・USハイ・イールド(説明書)
●米ドル建て高利回り事業債(以下「ハイ・イールド・ボンド」といいます。)を中心に分散投資を行ない、高水準の利息等の収入を確保するとともに、値上り益の追求を目指します。
●格付けに関しては、主に、Ba格(ムーディーズ社)以下またはBB格(S&P社)以下の格付けの事業債に投資を行ない、一部、格付けを持たない債券や、米国以外の国の発行体の高利回り事業債を組入れることもあります。
説明書には書いてあっても読み飛ばしてしまいますよね、流石に「投資不適格」債券に投資する・・・と書いてあれば気がつくでしょうが。
高配当であるということはそれなりの理由があるはずです。理由がわかった上でポートフォリオの一部に組み込むのならば良いのですが、新興国と同じで経済が不安定になればたちどころに資金が引き上げられることを知っておくべきです。
窓口で購入できるものでほんとに投資家のためになるものはなかなか見つかりません。いま購入できるのは積み立てNISA対象だけですね。

46%の顧客は運用損益がマイナスだったという衝撃、金融庁も是正に乗り出しているようです。

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