VTは日本では超人気のETF、楽天の保有額ランキングでも、買付け額ランキングでも堂々の1位です。 でも私はVTではなくVTIをメインに据えています。
今回はその理由について整理してみたいと思います。
VTのについて考察
VTは「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」が正式名称、 米国を含む全世界の先進国株式市場および新興国株式市場への幅広い投資を行います。
買付けランキングでも、運用額ランキングでも日本では1位であり非常に人気があることがわかります。

概要ですが、「先進国や新興国 約47カ国で約8000銘柄で構成されており、投資可能な市場時価総額の98%をカバーしている」ということですが、実は半分以上が米国の銘柄を組込んでいます。
下の市場別構成比を見ても分かる通り、米国・日本・英国の3カ国でおおよそ2/3を占めます。 残りの3分の1を44カ国に分散していることになります。
世界中の先進国や新興国へ分散投資をすること自体は悪いことだと思いませんが、米国が半分を超えることや米国・日本・英国を除くほとんどの国の組み込み割合が合わせても1/3しかないことが気になります。
経済的に今後も発展の可能性が高い米国が組込トップなのは良いとして、英国や日本は人口も既に減少傾向にあり今後大きく発展することは望めないものと考えています。
新興国は大きな成長が見込めるものの、組み込み上位10位には中国だけ3.2%の組み込み比率となっています。
つまり今後大きく成長しそうな先進国は米国以外に含まれておらず、成長しそうな新興国の割合も大きくない。
というのが私のVTに対する感想です。
VTIのメリットとデメリット
VTIは「バンガードR・トータル・ストック・マーケットETF」、米国の大・中・小型株そしてバリューからグロースまで幅広く組み入れたETF、米国株式市場の投資可能な銘柄をほぼ100%組み入れたETF米国全体を買うようなETFです。
VTIのメリットは好調で今後も経済成長が期待できる米国の株式全体に投資ができることです。 米国一国に集中することで高いパフォーマンスが期待できる一方で、もし米国が停滞すれば大きな痛手となる可能性もあります。
ただ、私は実際に米国は世界経済の中心にあり世界中の貿易決済にもかなりの割合で米国のドルが利用されていることを考えれば、米国が調子悪くなれば世界中が影響をうけると考えています。
つまり世界中に分散投資しているVTだから米国が停滞しても大丈夫とはならないということです。ましてや米国株式の割合が50%を超えているので確実に株価に影響すると考えます。
VTとVTIを比較する
リーマン・ショックが発生した10年前からのチャートを比較してみましょう。
これを見るとリーマン・ショックによる株価の下落はVTもVTIもほぼ同じように受けていることが見て取れます。
つまり米国の下落に合わせてそれ以外の国の株価も大きく下落し、結果VTIとVTのチャートは同じように下落しています。 また2011年頃からVTIとVTに差が出ています。 VTIの伸びが大きく世界分散投資のVTは低めに推移しています。
以上過去10年を整理すると以下のようになります。
・VTI下落局面ではVTも同じように下がっている
・市場が回復に向かう局面では米国集中のVTIの方がパフォーマンスが良い
ここから私が感じるのは米国経済の強さ、米国が下落する局面では世界中が影響を受けて下落する。 また回復期は米国の強さが世界を牽引する形になっているので、VTIは米国の成長を享受できるが、VTは米国の成長をその他の国で薄めてしまっている。
これはあくまでも個人的な考えです。
さらに言えば次にリセッションが来たときにリーマンショックのときと同じ様な値動きをするかはわかりませんが、米国が経済的に一人勝ち状態なのはまちがいなく、このため私は米国集中のVTIを購入しVTは買っていません。
VTは米国ではあまり人気は無いETFですが日本では特に人気のETFです。世界中へ分散するときに、これ一本で済むのが人気の秘密かもしれません。

米国全体を買うVTI 他にもS&P500などがありますが、分散の広さではVTIが一番です。

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