来年定年を迎える先輩がおりまして退職金で投資デビューを考えているようです。 前から退職金で投資をするような話を聞いていたので、定年退職してからいきなり退職金を使って投資するのはどうだろうか、少額でいいからまずやってみたほうが良いのでは?
と話をしていたのですが、いきなり野村證券へ行き、窓口で進められた「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」を購入してきたようです。
野村證券は店頭で丁寧に話を聞いてくれるようなので、手数料が高くても納得だそうで。
目標値、運用方針を考える
まず投資をするにしてもどのくらいのリターンをめざすのか、どの様な運用をするのかが重要です。 もちろん退職金ですから基本減らさないでインカムゲインを狙うべきだと考えます。
退職金を生活費に当てなくてもなんとかなるのであれば、株式の比率が高くてもOK インカムとキャピタルを同時に狙えるVYMなんて狙い目でしょうし、取り崩しを考えるのであれば債権にも分散投資し株価暴落にも備えなければならないと思います。
その意味で「米国成長株投信」一本はどうなんだろうかと・・・まずは試してみるという位置づけであればよいのですが。
人気のファンドと比較する
「AB・米国成長株投信Bコース(H無)」のベンチマークはS&P500となっています。 このため同じS&P500(円換算)をベンチマークにした人気のファンドを調べると「iFreeS&P500インデックス」 があります。
これは投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017でも10位に入る人気ファンド、店頭とネットでどの位の手数料の差がでるのか比較をしてみましょう。
AB・米国成長株投信Bコース(H無) | iFreeS&P500インデックス | |
購入時手数料率 | 3.24% | 0% |
解約時手数料率 | 0% | 0% |
解約時信託財産留保額 | 0 | 0 |
信託報酬 | 1.70% | 0.24% |
ベンチマークが同じなのでパフォーマンスにはほとんど差が出ないはずです。にもかかわらず購入時手数料や信託報酬に大きな差があり、店頭で買える商品が高コストであることがわかります。
今まで投資をしていないため、店頭で相談できる方がよいと思うのは当然ですが米国の平均リターンを5~6%と考えれば 「AB・米国成長株投信Bコース(H無)」はリターンの1/3が手数料に取られるので ちょっと高すぎと思います。
ちなみに100万円を投資した場合、手数料だけ考えればこの様なイメージです。
96.76万円からスタート、信託報酬でも1,7万円引かれる。つまり初年度は95.06万円からスタート
100万円からスタート、信託報酬は0.24万円のため
99.76万円からスタート
パフォーマンスをチェックする
iFreeS&P500インデックスは昨年8月からスタートしたファンドなので長期の実績はありませんが、AB・米国成長株投信Bコース(H無)はある程度の実績があります。
ただいずれもS&P500円換算をベンチマークにしているのでパフォーマンスに差はありません。また過去のチャートを見ればどなたもそのパフォーマンスに納得するものと思います。
AB・米国成長株投信Bコース(H無)・日経平均
定年まで投資をしたことがない場合は窓口がある証券会社などに行き相談するのはある程度仕方ない気がしますが、かかる手数料の差はかなり大きいことを覚悟する必要があります。
また窓口にいるのは販売のプロ、その企業が力を入れている商品をどうしても進めることは否めません。このため、窓口で勧められる商品が個人の投資家にとって良いものではない可能性も考え、最終的に自分で決める必要があります。
この自分で決めるという意味では窓口もネット証券も大差なく、逆に販売員のバイアスがかからないネットの情報から選択できる事もかんがえれば、最終的には手数料が安いネット証券を利用するのがオススメとなります。
今回、AB・米国成長株投信Bコース(H無)を取り上げましたが 他にも窓口とネットでは手数料に雲泥の差が生まれてきています。
最近は投資環境が激変し投資家にとってメリットがおおきく改善されてきていますが、現時点ではネット証券を利用した場合のみ、
窓口はあまり変化がない気がします。 いずれ窓口でも手数料が下がっていくものと思われますが、今の段階ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券などネット証券を使うべきです。
投資のリターンを漠然と考えていませんか? 目標リターンと作戦は重要ですよ

いきなり退職金で投資デビューする方へ、買ってはいけないファンドです。

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