IMFが2018年7月に「IMF世界経済の見通し」改訂版を発行しています。 これを見ると日本がぶっちぎりで最下位で1.0%、来年の予測も最下位で0.9%です。
これを見ると日本だけが景気回復の波から遅れていていることがわかります。
少子高齢化で生産人口が減り、社会福祉の負担が増大するなかで、景気回復や将来に向けての投資ができていないことが要因の一つにあると思います。
そもそも今の日本の台所事情はどの様になっているのか、一度整理しておきたいと思います。 ここが理解できてないと経済政策とか、金融政策。社会保障とか聞いてもいまいち理解できないですから・・・
今回は日本が人的資源や経済成長に向けて積極的に投資を行っているのか 一度 簡単に整理してみます。
日本のGDP推移
経済成長といえばGDP、GDPは国民総生産ということで国が1年でどれだけ儲けたのか?というもの、また名目GDPとはインフレ率をかけたもので実質成長率を捉えたものです。
(世界経済のネタ帳)
GDPは2010年に中国に抜かれてからすでに中国の半分以下、米国の4分の1という状況、単純に日本の生産性はほぼ伸びていない・・・ということになります。
しかしバブル崩壊以降、日本のGDPがほぼ横ばいで変わっていないのに対して米国の成長は驚異的です。 米国へのインデックス投資もこの成長があればこそと言えますね。
日本はほぼ完全雇用なのになぜGDPが上がらないのか
日本の失業率を主要国と比較すると極めて低い水準に抑えられていることがわかります。
なのにGDPが低いということは、「そもそも人口が少ない」、「安い賃金ではたらく人が多くGDPへの影響が低い(派遣・請負、パート)」などが考えられます。
ちなみに最低賃金は過去20年以上G7国の中で最低を独走中でもあります。 安い賃金で働いてくれる人が多く、それで日本経済を支えている という見方もできるかもしれません。
日本の産業別生産性を確認
日本の産業別生産性について米国と比較したグラフがありましたので見てみましょう。
これを見ると「科学」は米国と生産性がほぼ同じ、「1次金属・金属製品、建設」などはやや米国より劣るものの、その他の産業は明らかに低く「農林・水産」に至っては米国100に対して4.4という破滅的低さであることがわかります。
これは、もし関税がなければ米国産の食料品などが日本産の20分の1以下となるわけですから・・・すごいことです。
いずれにしても日本が勝っている分野がなく、ほぼすべての分野でおおきく負けています。
研究開発の状況は?
日本の研究開発費総額の推移(経済産業省)の資料を見ると以下のようにあります。 簡単に言えば世界中の投資は増えているが、日本は横ばいというところです。
・世界の研究開発費総額(OECD把握ベース)は継続して増加しており、2015年には約1兆7千億 ドルに到達。
・米国の研究費は、2008?10年にかけて一旦停滞したものの、継続して増加(2015年約5,029億 ドル(2006年の約1.4倍))。
・全期間を通して中国の研究費がおおきく増加( 2006年約1,056億ドル→2015年約4,088億ドル (約3.9倍))。日本は2009年に中国に抜かれ、世界第3位。
・韓国は研究費の増加率が?く、10年前の2006年の約2倍。ドイツも継続して増加。
主要国の研究開発費総額の推移
主要国の研究開発費の政府負担割合の推移
研究開発費用は横ばい、政府が負担する割合は先進国中で最下位ということがわかります。
人への投資について
博士号取得者数に注目してみると、諸外国に比べて博士号の取得者の割合が低いことがわかります。 最近では減少傾向、そろそろ韓国に抜かれるのではないでしょうか。
技術立国を目指すという安倍総理の発言もちょっと悲しくなりますね。
更に文部科学省のHPには日本の教育投資がOECD加盟国中再開位であることも記載されています。
このような色々なデータをつなぎ合わせてみると、技術立国を目指して経済成長をすすめる、という掛け声とは裏腹に いちばん大切な人や新しい技術への投資がさほどおおきくないことが見えてきます。
なぜ人や技術開発に投資ができていないのか、次回整理したいと思います。

有事の円買いとはナゼなんでしょうか?一般論ですが整理しています。

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