投資未経験の方が退職金というまとまったお金を使って資産運用をしようとするのは一般的にはおすすめされていません。投資未経験の方は自分はどのくらいリスクがとれるのか・・・という一番の根幹について理解していないケースがほとんどだからです。
つまり、定年退職した会社員が退職金というまとまったお金を運用してお金を増やすということは
・まとまったお金を持つ
・資産運用に積極的
・リスク許容度を理解していない
銀行から見たら、こんなに美味しそうなカモはいません。
最近は投資に向いている優良なETFや投資信託が登場してきていますが、それでも市場で売られている投資信託の9割以上はゴミ、資産運用という目的にあった商品ではありません。
もちろん銀行や証券会社は老後の資金不足や資産運用の必要性をガンガンとアピールして来ますが、彼らは手数料がほしいだけであなたの資産を増やすことに積極的ではないのです。
基本的には分散とポートフォリオ、リスク許容度を理解していればそんなに大損をすることはないと思うのですが、今回は不幸にも証券会社の口車に乗って資産を減らしてしまった場合の対応について考えてみたいと思います。
・投資対象を再確認する
・損を取り返そうとは思わない
・投資目的に合わせた商品とポートフォリオを考える
・そして思考をリセット
投資対象を再確認する
最近はなくなってきましたが、毎月分配型の投資信託などはゴミファンドの典型ですね、利益が出ていなくても元本を削って分配金を出しているので投資としては意味ないです。
同様に投資に値しないファンドはそれこそ山のようにあります。そんな中で何を選んだらいいのか・・・についてはとりあえず「つみたてNISA」対象商品を参考にしたらどうかと思っています。
つみたてNISAは金融庁がつけた条件をクリアした商品のみが購入可能で、「長期・分散・積立」という投資の基本に適した商品のみが投資対象です。
「つみたてNISAは長期運用で資産形成に役立つ商品のみが投資対象」
現在対象が170本以上あり、選ぶのも大変ですが 窓口で投資に向かない商品を買うよりは遥かに良いと思います。ちなみに窓口ではこのような優良商品は売っていません。
短期でリターンを求めるのはプロの仕事、なので金融庁が認めた長期投資に向いている商品以外は投資未経験者がやる必要はありません。
損を取り返そうとは思わない
投資未経験者がなくなってしまうと困るお金を投資に回すのはかなり問題だと思います。なぜならば資産が必ず増えるわけではないからです。
なので資金に余裕がある人ならば退職金を資産運用にまわすのは良いと思うのですが、それ以外の場合は特に慎重になる必要があります。
もし大きくマイナスになったときに、普通は損を認めたくない、取り返したいという想いに駆られるかもしれませんがこれはNGです。
そもそもリスクを取りすぎていたと自覚して気持ちを切り替えることが大切、もし損を取り返そうとして更に大きなリスクを取ると、大抵の場合は事態をさらに悪化させるだけでしょう。
投資目的に合わせた商品とポートフォリオを考える
ざっくりですが、米国株式のリターンは長期で6~7%位と言われています。なのでこれを超えるようなリターンは現実的ではありません。
また老後資金の運用では特にリスクについても十分に考えておく必要があります。各々のファンドの運用報告書にはリスクとリターンについて過去の実績が書かれていますからこれを参考に商品を選ぶことになります。
この表は楽天VTIの運用報告書からの抜粋、過去の運用成績からどのくらいのリスクとリターンが有るのかを計算したものです。

「当ファンド」となっているのが楽天VTIです。
このグラフから過去5年の平均リターンが8.9%/年 リスク(振れ幅)は統計的に計算して+33.6%~-15.1%くらいになることがわかります。
また株式と債券は逆の値動きをするので、好景気に強い株式と不景気に強い債券の割合を決めておくことも大切です。
「運用成績の8~9割はこの比率で決まる」
一般的に株式の割合は「100ー年齢」と言われているのでわからなければこれを目安にしてみてください。リスクがとれるのであれば株式の割合を上げていってもいいと思います。
ポイントはリバランス、1回/年位の頻度で決めた割合に調整し直すことです。
またこのようなことを考えるのが面倒であれば株式と債券、その他の資産クラスを組み込んだバランス型のファンドが候補になります。
そして思考をリセット
あとは今持っている商品を新しい商品に組み直して新たな気持で運用を再開していけばいいと思います。やっていけないのは「損を取り戻す」、これはだめですね。
すでに損をしているのであれば、リスクを取りすぎていた事を素直に反省して今できることを考えて実行することしかないでしょう。
今日のまとめ
今回は不幸にも証券会社の口車に乗って資産を減らしてしまった場合の対応について考えてみました。
結論は投資に向かない商品を掴まされていないか・リスクを取りすぎていないか、これを確認して適切な商品とリスクに調整していく他にはすることはありません。
改めてポイントを書き出すと
・投資対象を再確認する
・損を取り返そうとは思わない
・投資目的に合わせた商品とポートフォリオを考える
・そして思考をリセット
損失分は生活費をおさえる・なにか仕事をする等でカバーするしかありません。間違っても投資で取り返そうとは思わないこと、比較的再現性が高い長期投資をベースに、じっくりと運用方法を考えていく必要がありますね。
それでは、また!!
長期運用のインデックス投資では積み上げた資産を効率的に取り崩す方法も研究されています。
そして成功率を上げるために注意すべき点についてもまとめてみました。
老後資金は年金不足分をカバーする部分だけを考えればいいのですが、そもそも若くして資産を築き経済的に自由になる考えもあります。経済的に自由になればやりたい仕事だけをすればいいことになります。
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