最近、各国でインフレ退治のため金融引き締めに動いています。このため金利が上がってきていますね、一方で日本はまだインフレ状態になく金融緩和を継続中です。
これによって為替が大きく円安に触れているのはご承知のとおり、ちょっと知っている人であれば日本と海外の金利差が大きくなっていることも知っているでしょう。
こんな背景を受けて外貨定期預金の人気が高まっているようです。先月の日本経済新聞によると
・外貨定期預金を開設する動きが活発になっている ・海外の利上げで外貨預金金利が上昇していることが背景 ・金利差拡大で円安が続くとの見通しを持つ個人が多い 長期で外貨に投資する外貨定期預金の開設が活況だ。新生銀行の外貨定期預金残高は半年間で6割超増え、ソニー銀行では1カ月間の新たな預入額が半年前から8割増えた。海外の利上げが背景にあり、ソニー銀のドル預金金利は半年で10倍超に上昇・・・
とありますね、なのでちょっと調べてみました。
結論は外貨預金はおすすめしないし、自分もやりません。これだったら米国債を直接買ったほうがよっぽどか良いと思います。
たとえばソニー銀行のHPには米ドルの外貨定期預金の金利がこのように書かれています。
円からはじめる限定金利
1ヶ月3.50000%
6ヶ月6.00000%
日本では定期預金で年利0.002%程度ですから「米ドルで定期預金すればすごい儲かるじゃない」と思うのですが、そんなことないんですよ。
金利の下にこんなコメントが書かれています。
※円から外貨、外貨から円への交換には、都度当社所定の為替コストがかかります。円からはじめる限定金利の適用を受けた外貨定期預金を、満期時に円貨に交換した場合、為替相場の変動が全くなかった場合でも、当初円でのお預け入れ金額を下回り、元本割れとなります。
え?? 預金なのに減っていくわけ? 誤字でしょ?「多分為替手数料がかかります」ということだと思いますがびっくりですね。
日本人は元本保証が大好き、なので預金と聞けば安心なのかも!? でも外貨預金はれっきとしたリスク資産、元本割れも普通にありえます。なのでリスク資産としてみてみると、ちょっとおすすめできないかな・・・
預金なのに元本保証はない
貯金大好き日本人、預金イコール元本保証と思い込んでいませんか?外貨預金は名前は預金ですがれっきとしたリスク資産です。
今年に入ってからの円安によって30%ほど円安に振れています。今年のはじめに米ドルで外貨預金を始めた人がいたとすると、その人の資産は半年で30%増えたことになります。
逆に言えばいま外貨預金を始めて半年後に為替が元の水準に戻ったとすると、為替で30%資産価値が減るのは言うまでもありません。
つまり外貨で元本が保証されていても日本円では保証されていない商品であることをしっかりと理解しておく必要があります。どうせリスク資産を買うんだったら米国株式や債権のほうが条件良くない?と思うのです。
破産しても預金は保護されない
これは外貨預金をしようとした人には必ず説明される項目の1つだと思います。まあ実際に潰れそうな金融機関があるかと問われればまあないと思いますが、そういうリスクを負う商品ということです。
これだったら潰れるリスクを自分で負わない投資信託やレバレッジ1倍でFXのほうが良くない!?ということです。
高金利の満期に注意
外貨預金は高金利!!なんと年利6%(6ヶ月満期)など日本ではありえない数字が並んでいますが、あくまでも満期までの期間限定です。
この場合、年利換算すると6%というだけで、優遇されている期間が6ヶ月であれば実際の利率は3%、しかもその後は通常の条件が悪い金利に切り替わりますよ。
為替手数料がバカ高
ソニー銀行為替手数料は往復で30銭、100万円をドルに変えて戻すだけで3000円の手数料です。まあ3000円くらいならいいじゃん・・・と思われるかもしれませんが冷静に計算するとバカ高だと言える水準です。
例えば 6ヶ月満期、6%の優遇金利の場合でも税引き後の金利は4.8%、ざっくりといえば利子が48.000*2/12=24,000円もらえるわけです。一方で手数料は3、000円です。 例えばSBIネット銀行で米ドルを買うと手数料は往復で12銭なので手数料は1,200円で済みます。 FXの場合は手数料はありませんがスプレッドとして0.2〜0.4銭くらいでしょうか・・・
それにソニー銀行は手数料が安い部類、もっと高い銀行はゴロゴロあるので注意を
確定申告が必要な場合がある
利益が出れば課税されるのがルール、利息分については申告分離課税で約20%課税されますが、為替差益は雑所得として総合課税という形になります。
利息分 :申告分離課税
為替差益:総合課税
課税方法が異なりますから為替と利息を別に考える必要があります。なので為替差損が出ていれば総合課税としては課税さませんが、利息については課税されることになります。
為替差益が出ていれば雑所得になりますから、場合によっては所得税と住民税に影響が出ますね。
(参考)確定申告が不要になるケース
年収が2000万以下の会社員で、為替差益も含めた給与以外の所得が20万以下である場合。
株式や債権の場合はすべて申告分離課税にすることが可能ですから損益通算など税制面でも有利です。
外貨預金についてちょこっと調べて見ましたが、あまりおすすめできるものではないというのが結論です。手数料が高く、税制面でも不利、そもそも為替の影響を受けるので元本保証でもありません。
今後、円だけを持つのは正直微妙なので通貨分散をするのは正しい判断です。でもその方法が外貨預金ということはないでしょう。
それだったら個人でドル転して直接米国債を買ったりしたほうがよっぽどわかりやすくていいと思います。(金利が上がると債券価格が下がるので注意!)
まとめ
最近の金利差で外貨預金が注目を集めているそうです。この1ヶ月で預金額が8割増しとか、金利10倍とか威勢のいい話が飛び交っているようですが、銀行側の作戦にハマってはいけません。
・預金なのに元本保証はない
・万一破産しても預金は保護されない
・高金利は期間限定、それ以降の条件は悪い
・為替手数料がバカ高
・確定申告が必要な場合がある
あまりメリットが感じられないからです。どうせ外貨預金もリスク資産であることは間違いないのでリターンを求めるならばもっと手数料が安い方法を選ぶべきですし、通貨分散を考えているならば優良なインデックスファンドや米国債を買ったりすればいいと思うのです。
自分の資産は自分で守る、他人(銀行)に委ねないことが大切ですね。
以上、なにか役に立つことあったでしょうか?
それでは、また!!
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